アメリカの人気家具ブランド「RH」が、ニューヨークのミートパッキング・ディストリクトに、巨大なフラッグシップとそのルーフトップ・レストランをオープンしたのは、2018年9月。
デザインギャラリーと呼ばれる6フロアの広々とした店内には、ハイエンド向けに、ラグジュアリーなインテリアを多数展示しています。
以前から「RH」のファンだったこともあり、オープンしてまもなく、視察に伺いました。
モダンとクラシックが融合された「RH」独特のスタイルと、エモーショナルな空間体験を通じて、刺激や感動を受けたのはもちろんですが、フロアごとに趣を変えながら、多数展示されている全てのインテリアやディスプレイの、完璧なまでのクオリティーに驚きました。
今回は、特に印象深かったインテリア事例から、「RH」流のスタイリング&ディスプレイを紐解いていきます。
映画女優やロックスターのように、 憧れをスタイリングするインテリア
インテリアの主役は、オードリー・ヘプバーンやデヴィッド・ボウイのモノクロのポスター。
この部屋にはどんな人が暮らしていると思いますか?
インテリアやディスプレイのエレメント(要素)から読み解いてみましょう。
オードリー・ヘプバーンやデヴィッド・ボウイのモノクロのポスター
壁にかけてある、ブラック&ホワイトのギター
モノトーン・ピンク・ゴールドのカラーコーディネイト
ふわふわのファー素材
ミッドセンチュリーのクリア素材のバブルチェア
ハリウッドミラー・手のモチーフのプロップ(小道具)
エレメントからイメージできたのは、映画女優やロックスターに憧れる、洗練されたニューヨークの女性。もしかしたら、駆け出しのモデルや女優かもしれない。バブルチェアで台本を読み、ハリウッドミラーの前で衣装をコーディネイトする。ベッドの上で、輝くシャンデリアを眺めながらスターを夢見ている。そんな風にインテリアやディスプレイから、住む人のライフスタイルまでリアルに想像できたのです。
憧れを醸成する・想像力を掻き立てる VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)
ショップやショールームでの、インテリアやディスプレイの効果は、「私もこんな部屋に住んでみたい」と憧れ感を醸成すること。「この部屋でこんな暮らしをしてみたい」と、イマジネーションを刺激すること。その二つは、消費マインドのアプローチとして、重要なファクターです。
商品やサービスの魅力を伝えて購入してもらうためには、訪れた人のアンテナに刺さるように、視覚効果を重要視した販売手法、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)視点の演出を行います。ニューヨークを訪れる度に感じるのは、日本とアメリカのインテリアやディスプレイの展示手法の違いです。
その違いは何でしょうか?
日本では北欧ナチュラルスタイルが、ここ数年トレンドを牽引しているので、どこのインテリアショップやショールームに行っても、展示手法に大きな違いがなく、同質化しているような気がします。
「心地よさ」「余白のある空間」「植物のある暮らし」と言ったキーワードが主流となり、多くのインテリアはシンプルな傾向に。白い壁に、木素材の家具、カーテンはコットンやリネンが主流で、ディスプレイは植物を空間のアクセントにすることが多いようです。そのような、ナチュラルスタイルのインテリア空間は、SNSで多数見ることができるので、プロでなくてもできてしまうコーディネイトとも言えます。
わざわざお店に出かけて実際の商品を見るなら、新しいアイデアの発見ができる、常に新鮮な提案のあるお店に行きたいですよね?
「ペルソナ」から発想する インテリアやディスプレイとは
一方でRHの展示手法は…
この続きはニュースレターで配信します。興味を持った方はぜひ無料登録してみてください。
RH NEW YORK
RHは、家具販売の他、レストラン、ホテル、住宅などライフスタイル全般をプロデュースするライフスタイルブランドとして、ラグジュアリー市場を牽引。ショッピング体験を再定義して、新しい暮らし方をリアルに提案している次世代型デザインギャラリーは、ホテルの開業も計画中。
YOUTUBE
歴史的なミートパッキング地区のギャラリーであるRHニューヨークのビジョンと創造を記録した短編映画。RH ニューヨークは建物の改築と改装に5年の月日と56億円の費用を投じて、総面積9万スクエアフィート(約8360平方メートル)のアップスケールなプロジェクトを実施。
The Entertaining Displayでは、無料会員の方向けに、ニュースレターを配信しています。JOURNALの記事をさらに詳しく解説した完全バージョンを含め、見逃した記事をまとめて読んでいただけるように、セレクトしたお勧め記事をお届けします。
プロのテクニックを惜しげなくお伝えする内容は、ご登録くださった方からご好評いただいています。あなたもぜひご参加ください。
Comments