2017年夏、ディスプレイ視察の旅はポートランドから始まりニューヨークへ。
ジョン・F・ケネディ国際空港から真っ先に向かったのは、世界にひとつだけのデパート「バーグドルフ・グッドマン」。5番街に面した芸術的なショーウインドウが有名です。創業112年という歴史を持ちながら、常に斬新なアイディアでファッション界をリードする存在。
5番街の斜向かいから、そのウインドウを見た時、壁に絵が書かれているものだと思い、いつもよりシンプルなウインドウにテンションが下がりながら、ウインドウの正面で立ち止まり息を呑んだ。そのウインドウは、「チュール素材だけで描かれた肖像画」だったのです。どうなっているの?
立ち止まったまま、ウインドウのガラスに極限まで顔を近づけてみた。複雑なプリーツが幾重に重なっている様子は把握できたけど、どうやって肖像画のように顔を描いているかはわからなかった。観察しながらさっきまで下がった私のテンションは一気に上昇。「やっぱりバーグドルフ・グッドマンのウインドウってアーティスティックで凄い!」そう思いながら、すぐにチュール素材の肖像画の謎解きをスマホ検索したのでした。
ウインドウディスプレイはイギリス人アーティスト「BENJAMIN SHINE」とバーグドルフのコラボ! ベンジャミンシャインは、チュール素材だけで肖像画を描くアーティストだったのです。特徴はチュール素材をアイロンでプリーツに形成して、透明なテグス糸で縫い付けて人物の顔をリアルに表現しています。透け感のあるチュールの素材を絵具代わりにして描き出される絵画。この夏、一番印象に残ったディスプレイでした。
※画像は2017年7月に現地に訪れて撮影したものです。
バーグドルフ・グッドマン公式サイト
BENJAMIN SHINE 公式ページ
インタビュー動画